災害時の安全・安心を確保

基本的な考え方

当社グループでは、昨今頻発・甚大化している異常気象や地震などの自然災害発生時にも建物を利用される皆さまの命や生活、財産を守ることを第一に、防災力の向上を目指しています。Webサービスを活用した入居者への情報やサービス提供を通じた防災意識の向上などのソフト面、防災対応機能を付帯する物件の推進などのハード面の両側面からの施策に取り組んでいきます。また、事業継続計画(以下、BCP:Business Continuity Plan)を策定、実施体制の構築を行い、万が一の時もその影響を最小限に抑え、生活や事業を継続できるよう防災に取り組みます。

オフィスビル、分譲マンション、物流施設などにおける防災対策の推進

オフィスビルにおけるBCPおよび安全対策の取組み

当社の所有・管理するビルでは、発災時のテナント様や来場者様の安全・安心を確保するため、BCPや安全対策の取組みを推進しています。
建物被害調査や建物への駆け付け対応などの各種マニュアルを整備し、発災時の行動指針や実施手順を定め、災害発生時には「事業本部災害対策本部」を設置して災害対応を行います。
  1. オフィスビルに係るBCP訓練
    • BCP定期訓練(2カ月に1回)
      ビル管理を担う興和不動産ファシリティーズ(株)と連携し、災害発生から災害対策本部の設置、各ビルの被害状況の収集まで円滑に行えるよう訓練を実施しています。
    • 帰宅困難者受け入れ訓練(年1回)
      赤坂インターシティAIR と 品川インターシティ では、災害等発⽣時に外部帰宅困難者の受け⼊れ協定を⾏政(港区)と締結しています。帰宅困難者発⽣時の受け⼊れ対応についても訓練を実施しています。
    • 体験型防災訓練
      消防署と連携し、テナント様や周辺地域の方にも参加いただく体験型防災訓練を実施し防災意識の啓発に取り組んでいます。2022年11月は赤坂インターシティAIR、2023年3月は品川インターシティにおいて体験型防災訓練を開催いたしました。
  2. 建物の被災状況確認システム導入
    • 被災度判定システムの導入
      被災時に建物の安全性を把握し、建物利用者の避難指示や建物の継続使用の判断に活用
    • 遠隔監視システムの導入
      ビルの警報系信号や設備運転状況を遠隔で把握し、被災時に効率的にビルの状況を把握することに活用
    • ⾮常呼集システム
      当社社員による各ビルへの駆けつけ対応可否確認と各ビルの被害状況を集約し、ビルへの駆け付け対応に活用
  3. 災害備蓄品の確保
    各ビルでは3日間滞留可能な災害備蓄品を確保しています。
  4. 設備面の安全対策
    • 安全パトロール
      当社のビルを利用する全ての人々(テナント様、来場者様、管理/清掃員・点検業者など)を対象として、転倒などの危険を及ぼす可能性がある箇所の有無を定期的に調査し、対策を実施しています。
    • 浸水対策
      当社のビルの浸水リスク対策として、ハザードマップと各ビルの所在地を照合して浸水リスクを確認しています。2022年には当社ビル26件に簡易防潮板、簡易土のう、排水ポンプ、LED作業灯などを配備しました。
    • 地震対策
      当社のビルそれぞれの耐震性能を確認し、旧耐震物件には新耐震基準への適合を推進しています。また、地震時に崩落すると大きな被害が懸念される特定天井は落下防止措置を推進しています。
      特定天井とは、高さ6m以上、面積200㎡以上、重量2kg/㎡以上の天井を示す

分譲マンションにおける防災意識を高めるWebサービスの開発

当社では2021年12月以降、リビオシリーズ※1の入居者様に災害時の備えとして防災グッズを配布してきましたが、2022年3月より入居者専用Webサービス「myLIVIO(マイリビオ)」の提供を開始し、防災の準備をサポートするサービスの拡充を行いました。
「myLIVIO」では、協力会社が提供するサービスを利用して気軽に防災グッズを追加購入できるようにし、併せて居住地域の防災情報※2を簡単に確認できる機能も整備しました。また、これまでサービス対象物件を新築分譲マンションとしてきましたが、既分譲マンションのうち(株)日鉄コミュニティが管理する物件※3にも対象を広げて提供を開始しました。
本Webサービスは、今後も入居者のニーズに応えて継続的なサービスの開発・提供を進めていきます。
PC・スマートフォン両方からアクセス可能
用途に合わせて防災グッズの購入が可能
  • 当社が開発し(株)日鉄コミュニティが管理する、2021年12月以降に引き渡しを行う単独事業の全物件を対象とし、共同事業の物件は物件ごとに導入有無を決定
  • 当社が独自に調査したものであり、行政が公表する最新の情報とは異なる場合があります
  • 当社が開発しグループ会社の(株)日鉄コミュニティが管理する首都圏、関西圏、九州圏の分譲マンション

物流施設における地域の防災力向上への貢献

日本製鉄の工場跡地における再開発「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」(2024年9月竣工)において、当社と共同事業者である三井不動産株式会社は、2023年1月に、板橋区、ヤマト運輸株式会社と「災害時等における防災施設整備等に関する4者基本合意書」 を締結しました。板橋区より、河川氾濫時における地域防災拠点としての協力要請を受け、水害に強い安心・安全な街づくりの実現に向けて、緊急着陸用のヘリポートとしても活用可能な高台広場や、地域住民1,000人を収容可能な緊急一時退避場所や避難路を整備しました。建物内には、地震等災害時を想定した「板橋区災害時配送ステーション」を設置しており、備蓄倉庫飲料水や非常食、備品等さまざまな必需品を保管するなど、全国で初めて、官民連携の高台街づくりを実施しています。当社は街づくりを通じ、地域防災に貢献していきます。

BCP対応

当社は、自然災害や不測の災害に遭遇した場合にあっても、災害対応を行い、事業を継続させることにより、当社の社会的責任を果たすことを目的としてBCPを策定しています。一定基準を超える災害発生あるいは災害の発生が高い確度で予見された場合はBCPを発動し、「全社対策本部」および当社各事業本部を単位とする「各事業本部対策本部」を立ち上げ、事業継続体制に移行し、社員の安否状況の確認や被害状況把握といった初動対応や当社物件の災害対応、帰宅困難者対応などの事業継続対応を遂行します。
また、今後も社会的責任を果たすため、社会や事業環境の変化を踏まえ、様々な状況に自律的に対応すべく、BCPの実効性向上に向けた取組みを進めていきます。

防災訓練の実施

当社では、年に1回「全社BCP訓練」を実施し、指揮命令系統、役割分担、情報収集・伝達、安否確認などの方法を確認しています。
2023年12月7日に、当社グループ8社の参加も得て、安否確認訓練・物件被害確認訓練・シナリオ型訓練などを含む、総合的なBCP訓練を実施しました。そこで、より実践的な訓練として、以下の取組みを行いました。 災害発生時における対応力の向上に向け、訓練や研修を継続しています。
主な取組み
  • 東京都の最新の被害想定情報から、一般電話とインターネットの通信不良を想定し、災害時優先電話を使用
  • 当社社員が本社から管理物件へ徒歩や自転車で駆け付け、物件の被災状況を確認する訓練
  • 状況報告会議などはリモートとリアルのハイブリッドで開催